K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

10年間変わらないもの

昔から痩せ気味だったので、成長期においても体重が急激に増加するということはなかったのだけれど、一定の水準を超えた頃からはほとんど変動しなくなった。
変わらないという表現は、でも若干の語弊があるかもしれない。実際のところ、ここ数週間で減少しているからだ。
より正しく言うなら、ある基準点±2kg程度のレンジに留まっている、という感じか。

 

 

人付き合いをしていると、体重に関する話題になることが稀に起こる。
ほとんどの人は、以前より太ったとか、腹が出てきたとか、痩せたいだとか、ありきたりなことしか言わないので、私の体質について話すと首を傾げられることが多い。
私は、食べたものが身体の一部になりにくい。極端に言えば、生命維持に必要なエネルギー以外は全部出てしまうのだ。ファストフードなど脂質が多分に含まれている食べ物を摂取すると、24時間以内に高確率で腹を下す。

外見からもわかるのだが、実際に数字を伝えると、あまりにも痩せすぎているという印象を強く与えてしまうのだろう。もっと食べろと言われる。それはもう仕方のないことで、徹夜後に爆睡してしまうくらい当たり前のように繰り返されてきたやり取りなのだが、私は別に少食というわけではないのだ。大食いでもないが。
ただ、食生活について言及するなら、余計なものをほぼ食わないのは確かであるし、食事の内容や順番に意識を割いていることも否定できない。
たとえば三時のおやつとか、夜中のスナック菓子みたいものは、幼少期からほとんど口にしたことがない。習慣がないのだ。一日三食、決まった時間以外には胃が開いていないような感覚だ。まったく欲しくならない。苦痛ですらある。
食事ではまず、野菜から食べる。次にたんぱく質。炭水化物は最後だ。一般的にこの順番は太りにくいとされているのだが、私の場合は腹が弱いので、せめて消化の負担を減らしたいという意識からだ。

おそらく基礎代謝がとても低い。必要なエネルギー量が少なく、食べすぎると吸収に長い時間をかけるか、諦めて出してしまう。脂肪として身体に備蓄するということができない。
外出が減って運動不足になると筋肉量が減少するから、ますます必要エネルギーも僅少なものとなり、腹の調子も悪化する。
体質的に太れないとは、こういうことなのだ。意識的に身体を鍛えようとしなければ痩せていくばかりで、いつの間にか骨と皮だけになっている。

 

痩せたい人からしたら、羨ましいのかもしれないが、いいことばかりではない。
脂肪がない分、本質的に寒さに弱い。弱すぎる。暖房や服の問題ではないのだ。冬は本当に身体がうまく動かせなくなって、生きるのがしんどい。野生動物が冬眠する生態について、感覚的に理解できてしまうくらいだ。眠り続けていたくなる。
かといって冷却機能に優れているわけでもないため、夏は普通に暑くてつらい。それでも冬よりは随分マシなのだが。

身体が貧弱なだけあって、関節が痛みやすいし、疲れやすい。ちょっと外に出て動いただけで、なんだか病気にでも罹ったように身体が重くなる。世の中の人は、よく毎日のように外で活動できるものだと、むしろ私が羨ましく思うくらいだ。

 

肥満などの判定に使われるBMIだが、現在値はおよそ16だ。18.5未満は低体重扱いになるらしい。幼少期はどうだったか知らないが、物心がついて以降は、おそらく一度も超えたことがない。
確か、外出自粛生活に入る前は17くらいあったから、結構落ちたほうだと思う。
記憶の限りでは、これまでの最高値が17.4くらいで、最低値が15.8くらいだから、かなり下限に近いところまできていると言っていいだろう。

 

痩せている話を他人にするのは自慢でもなんでもなく、どちらかと言えば不健康アピールなのだが(それもメリットはないが)、あまり好ましい印象を与えないらしいということは経験上わかっている。
でも、体重の話題になったら順番に言うじゃないか。痩せている人間はどんなものかと、気になって尋ねてくるじゃないか。

私が、太っている人の食生活や体重への向き合い方を量りかねるように、悩むポイントが真逆だと相互理解はなかなかに難しい。
私の言う「痩せ方」は彼らの参考にならないし、彼らの言う「太り方」も私にとってアテにできる情報ではないのだ。

数少ない共通点と言えば、早死にしそうなところだろうか。