K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

遅ればせながら、劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring songを観てきた。
終わってからもう何時間も経つけれど、頭の中で整理が追いつかず、いまだにふわふわした余韻に浸っているような感覚がある。
まずは、これだけのものを作り上げた制作陣に、とにかく感謝したい。

 

私は原作未プレイなのでアニメが完全初見になる。これまでの他のシリーズはほとんど視聴済みだけれど、HFは特に暗い雰囲気が一面に押し出されていて、劇場公開というのがよく合っていたと思う。没入感が心地よかった。

第二章がいろいろな意味で衝撃的だったものだから、第三章にも同様の期待をしていた気がする。実際に観た感想としては、少し予想を外れていた。
もちろん、悪い意味ではない。
じわじわと、はらわたに染み渡るような食べ応えとでも言うべきか、とにかく一言では到底言い表せない複雑な感情を喚起させられた。
だからあえて一言にまとめるなら、素晴らしかった、と言うしかないだろう。

尺の都合か、終盤についてはやや説明不足を感じた。観ながら、どういうことだろうと考える場面がいくつかあったので、やはり一度きりでは十分に咀嚼するのは難しい。
帰宅途中に呆けた頭で疑問点をいくつか浮かべながら適当にTwitterなどで調べてみたところ、あっさりと解決してしまったので、今では満腹感と同時に、もう一度観たいという空腹感を二重に感じていて、奇妙な気分になっている。

落ち着いてから全体を振り返ってみると、各シーンそれぞれが非常に丁寧に作られていたような気がする。
第三章は出てくる登場人物も限られているため、一人ひとりに大きな見せ場があった。感情の機微が、一挙手一投足が、とても情報が豊かで心にスッと入り込んできた。
第二章でも目を引いた派手な戦闘は今回も健在で、一気に引き込まれた。感動した。すげぇと声が漏れそうになる。決着のシーンでは涙腺が緩んだ。

結末についてはこのルートの特性上、どうしたってすっきりしない部分は残る。けれども、おおよそ期待していた形に収まったというのは、私だけでなく他の多くの感想を見ていてもわかることだ。
ほっとした、というのが素直な所感かもしれない。

それにしたって、ライダーはかっこいいし、イリヤはかわいいし、桜のおっぱいは大きいわけだ。そして、これまであまり語られてこなかった綺礼の見せ場が盛りだくさん。もはや全シーンが見所と言っても過言ではない。
ごちゃごちゃした感想なんて置いておいて、映像も演技も最高だったから、それだけでも十分に観る価値はあった。
あぁもう、うまく言葉にならない。とにかく、よかった。

そういえば、桜が咲く春の季節に公開が叶わなかったことは残念だったけれど、一周回って夏でもよかったと思えた。
冬でもいい。まぁそれだけ、このアニメは季節描写が印象的だったのだなぁと感じる。いつ観ても楽しめるというのは、いいことだ。


Fateシリーズには、これまでいずれの作品にも非常に楽しませてもらっているけれど、その中でもHFは特別感がある。劇場版というだけではなく、キャラクターが好きなのだ。
士郎も、凛も、そして桜も。

どのシリーズが一番好きかと問われれば、これまで迷いなくFate/Zeroと答えていた。それは私が、切嗣というキャラクターが好きだから。
今、同様の質問をされたら、回答が変わるかもしれない。いや、きっと、おそらく変わる。それくらい私は、桜というキャラクターが好きになったのだと思う。
同時に、士郎についてもUBWよりHFのほうが好きだと思った。一人の少女のために他の何もかもを犠牲にして全力で突き進む少年。私は本質的に、そういう物語が好きなのだろう。一見するとHFは他のルートと比べたら異色という印象を受けるけれど、私は最も王道な物語だと感じた。


今日はもう疲労と余韻で、瞼が重く視界が閉じそうになっているところだけれど、いい具合にお絵描き欲を刺激されたので、数日以内に何か描くとしよう。
日記に上げるかはわからないが。