K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

排水口との戦い

このところ不思議に感じていたことがあるのだが、梅雨頃まではキッチン周りの手入れを放置していると悪臭が気になっていたのに、夏になって気温が上がってきた最近は、あの独特の鼻につく感じがしない。
そんなわけで、随分と長いこと排水口の中を覗いていないことに気がついた。
臭いがしないということは腐っているわけではないと思うのだが、このままではマズいのではないか……そんな予感があったので、久しぶりに蓋を外してみることにした。

 

正直なところ、なんとなく外側からでも様子がおかしくなっているようには見えていたので、意外というほどでもなかったのだけれど、それでも目に入ってきた光景は軽い想像を超えるには十分なものだった。
ネットを取り付けたゴミ受けが真っ黒に染まり、元の色がわからなくなっている。それを外して中を見ると、同じく黒い物体で埋まっていて、気味が悪くなる。
明らかに、良くない何かが集まり増殖しているということがわかった。

毎日、欠かさず細菌の栄養素を与えているに等しかった排水口の環境は、手入れを怠っていたばかりに悲惨な状態になっていたらしい。
一見すると、どこから処置を施していいかわからなかったけれど、このまま放っておくわけにもいかないため、とりあえず熱湯を垂らしてみた。
湯気が上がり、異臭とまではいかない程度の、微妙な臭いが鼻腔を刺激する。ダメだ、あまり意味はなさそうだ。

次の手段は重曹クエン酸を振りかけて、しばらく待つというものだった。
シュワシュワと炭酸の音が響き、クエン酸の柑橘系のようなにおいがキッチンに充満する。
音もにおいもなくなった頃に排水口の様子を確かめると、無意味というわけではなかったものの、絶大な効果があったとも感じられない、微妙な感じで……結局は自らの手でどうにかするしかないのだろうと思わされた。

ヘドロに手を突っ込む勇気はなかったので、とりあえずゴム手袋を装着し、割り箸を手に取った。
スポンジを使ってもよかったのだが、まずは黒い塊を引き剥がす必要がある。その点、割り箸は使い捨てにできるし、耐久性もそれなりにあって、勝手がいい。
排水口にこびりついた黒い物体を、割り箸を使って削っていくように剥がしていく。いわゆる頑固な汚れというやつも、擦っていればきれいになることがわかった。

作業を続けること30分ほど、どれだけ水を流したかわからず次回の請求額が上がっていたら嫌な話だけれど、どうにか表面を覆っていたヌメリのある黒苔のようなものを除去することに成功した。
本当はキッチン専用の塩素系洗剤を使えば、ぶっかけて放置しておくだけで解決するのかもしれない。その手の掃除用具を買っていなかったので、今回はゴリ押しする羽目になったけれど、また遠くないうちに掃除する機会はあるだろうから、それまでに用意しておきたい。

 

以前に、風呂場の排水口が汚れに覆われて困ったことがあった。
キッチンと同様に使う頻度が高く、そして水垢などの汚れが蓄積しやすい。ただ水を流すだけでは汚れが落ちることはなく、繰り返しの使用でカビの塊が溜まっていく。
それ以降は、シャワーを使うたびに蓋を外してちゃんと洗い、なるべく雑菌の繁殖を抑えられるように工夫するようにしてきた。

キッチンの排水口についても、似たような心がけが必要なのかもしれない。
使用時に少し手間を加えるだけで、未来の大掃除がなくなるのであれば、十分に価値はある。