K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

寒暖差

一般的に寒暖差と言った時には、室内の気温と外気温の差を指すことが多いだろう。夏にしろ冬にしろ、快適な空間から不快な空間へ、あるいはその逆の体験をすると肌が変化を察知して何かしらの反応を示す。
ただ、私の場合は外に出ることが少ないため、ここで比較対象としたいのは室内同士となる。すなわち、実家の環境と自宅の環境だ。
先に結論から書いておくと、一週間ぶりに自宅へと戻ってきたら、あまりにも寒くて困り果ててしまった。

 

実家に帰るたびに感じていることではあるけれど、あそこは温もりが凄まじい。
親に優しくされるとか、栄養のある食事を作ってもらえるとか、諸々の要素はある。しかし、特に冬においては物理的な要因が一番大きいのだと気づいた。
寝ている深夜の時間帯を除いて、ほとんど朝から夜まで複数箇所で床暖房が稼働している。電源を入れた直後は効くまで時間がかかるため寒いものの、しばらく待てば床から天井まで熱が行き渡る。室内の空気そのものが、じっくりと活動レベルを上昇させていく。
このところ雪が降るなど、ニュースでは寒気の到来が一大トピックとなっているにもかかわらず、この帰省期間において震えるほどの寒さを実感した回数は片手で数えるほどだった。
本当に、身体の芯までよく熱が届く空間だった。

それと比べて、狭い独り身の我が家はどうだろうか。
壁は薄く、窓際は絶えず冷えている。カーテンの隙間から冷気が侵入してくるのだ。
もちろん床暖房なんてないわけで、普通のエアコンを使うしかない。いくら動かしていても、実家ほどの気温を手に入れることはできない。電気代を度外視すれば不可能ではないかもしれないが、あまりにも効率が悪い。
帰宅してしばらくは歩行運動により体温が上昇していたため気づかなかったが、落ち着いてからは全身の震えが止まらなかった。今も足先が冷えていて、とても温もりを感じられる状況ではない。
特定の作業に集中する際には、ある程度は涼しいほうが適切だと聞くので、私にとっての日常を進めていくのであれば悪くないはずだ。ただ、一週間も違う環境で生活していたら、流石に身体は寒さに弱くなる。ただでさえ寒がりの体質に、この寒暖差は堪える。

 

帰宅時の室温は約8℃、湿度は20%程度だった。
効きづらいとはいえ、温度は暖房でどうにかなるとして、このままでは著しい乾燥に苦しむことになるだろう。昨年末の時点ではギリギリ許容範囲だったけれど、年が明けて空気の状態が変わったらしい。
ふと、昨年のことを思い出した。ちょうど一年前だ。同じように乾燥がストレス源となっていた冬の室内に、それなりに多機能の加湿機を導入したのだった。
春から秋の間はただの空気清浄機として、ごく稀にしか動かしておらず、今では若干の埃を被ってしまっていたが、スイッチを押したら問題なく動く。久々に機械の内部を水で満たして、一定の湿度を保てるようにした。

冷たい空気を暖めようとする暖房の音と、乾燥した空気に湿度を供給しようとする加湿器の激しい音が合わさり、数時間が経ってようやく両方の数値が生きるのに問題ないレベルまで改善した。
21℃に50%の部屋……これでも実家の足元にも及ばないが、慣れるまでは我慢するしかない。数日もすればどうせ、身体が勝手に適応してくれる。

はたして、夏は冷房を切る暇がなかったけれど、この冬は外出時以外でエアコンを休ませるタイミングがあるだろうか。