K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

スマホの危機

私はiPhoneが好きではない。iPad Proだけは神デバイスだと思っているけれど、基本的にiOSが苦手だ。
というわけで、使っているスマートフォンは長年Androidなのだが、困ったことに近年の機種は縦長の流行だったり、要らないカメラの性能を追求して価格が跳ね上がっていたりで、どうにも買い替える気が起きない。
いつの間にか、もう四年も同じ端末を使う羽目になっている。

 

ゲームなどで酷使しているわけではないとはいえ、これだけ長いこと使っていると、流石に諸々の性能面で厳しさを経験することが増えてくる。
単純に、世の中の標準的な想定スペックを下回っていることから、動作の重さを感じるというだけでなく、使ってきた分だけ劣化が生じているのだ。
丁寧に扱っていれば十年選手になれる可能性もあるだろうが、機械である以上は運が悪ければどこかで故障しても不思議ではない。

初めてスマートフォンを購入したのは、2010年代の前半頃だった。それから、かれこれ十年ほど、いくつかのXperiaを乗り継いで今に至るが、最新機種がたくさん出ているにもかかわらず、XZ1から卒業できずにいる。
これだけの期間で、まだ三台目という人間は、きっと珍しいに違いない。我ながら、物持ちが良いと思う。

前回の買い替えは、自らの周辺に環境変化があり絶好の契機だったこともあるけれど、動作に不満を感じることが多かったから躊躇せずに決めることができた。
買い替えたのち、それを現在まで大した不満なく使えているのだから、悪くない選択だったはずだ。
その前の……最初の端末については、悲しい末路があった。あれは冬の寒い日だったと思うが、突然、電源が入らなくなったのだ。充電を試しても、再起動を試しても、どうしたって画面が点灯しない。
最終的に、メーカーに修理を依頼することになったのだけれど、結局は駄目だった。もっと他に方法はあったのかもしれないけれど、当時の状況ではデータの救出は不可能で、私はスマホに頼っていたほとんどすべての資産を失った。
特に、それ以前の人間関係で入手した連絡先を完全に喪失したのは非常に痛手であり、現在の交友関係が完全にそれ以降に作られた数少ないものとなっている。あれは、ある意味で人生における転機だったと言えるかもしれない。

電話帳のデータ以外にも、撮影した写真や動画、その他ローカルに保存していた画像やテキストなど、あらゆるものを一気に失ってしまったので、その後の私は定期的に外部媒体にローカルデータをコピーするようになった。
ただ、それも毎日というわけにはいかないから、数週間から数か月に一度という頻度になる。突然、スマホが動かなくなったら、直近のデータを失うリスクは常に抱えていることになる。
常時、クラウド連携しておけばいいという話はある。ただ、数GB程度で済むはずがないため、どうしても有料プランを契約する必要性が出てくる。これは、正解のない難しい問題だ。

 

今日は盛大に寝坊した。
というより、予定よりも早く目覚めてしまったから二度寝したところ、目覚ましアラームが機能せず寝過ごしてしまっただけなのだけれど、ともかく鳴るべきタイミングでスマホが働いてくれなかったのだ。
原因は、電池が切れたから。
確かに、眠る前にバッテリー容量が残り数%になっているのは目に入っていたから、それ自体は予測できることだった。もし、何かしらの外せない予定が入っていたら、充電してから寝ていただろう。
寝坊したことは、別にどうでもいい。問題は、起きてからにある。

電池切れということで、スマートフォンと充電器と繋いだのだけれど、一向に画面が反応を示さなかった。
通常、電気の供給により自動的に画面が光り、充電中であることを示す表示が出てくるのだけれど、今回はまるで変化が起こらなかったのだ。
困惑した。この端末にしてから四年以上になるが、このような状態になった記憶はほとんどなく……まるで動かなくなった初代のように思えてしまって、徐々に焦りが芽生え始める。
前回、バックアップを取ったのはいつだったから。最近は怠けていて、当分やっていなかった気がする。
こういうときは充電器を挿したまま、しばらく放置して待つのが吉だ。下手にガチャガチャやったところで、解決の糸口は見えてこない。

寝起きだったこともあり、完全に覚醒して思考が整うまで、軽食を摂ることにした。寝坊をしたせいで、もはや朝食でも昼食でもなく、夕食に近いくらいではあったけれど、そんなことはどうでもいい。
食後、画面の様子を確かめたところ、いまだに反応はなく、見た目には変化がなかった。けれど、先ほどよりも熱を持っているように感じられた。つまり、充電自体は進んでいるように思えたのだ。
あとは、どうにかして起動さえできれば……そんな時、ふと思い出した。そうだ、スマホには強制的に再起動する手段が用意されている。

iPhoneや最新のAndroidがどうなっているのかは知らないが、私の愛用している端末は、電源ボタンと音量調整ボタンを長押しすることで、電源オフ状態でも再起動を試すことができるようになっている。
すっかり忘れていた。やはり寝起きの頭は、寝不足の時と同じくらい信用ならない。
再起動手順を試してみたところ……見事、画面に光を取り戻すことに成功した。
そして読み通り、内部的には充電が進行していたらしく、既に30%程度まで溜まっていた。

これがなんらかの異常によって発生した事象なのか定かではないけれど、再起動後の挙動は何も問題がないため、一安心といったところだ。
以前、PCで似たような出来事があったけれど、精密機器においては起動するかどうかが最も生死を分かつところなのだろう。電源部分に、なるべく負担をかけないように使うことが肝要な気がしている。
まぁ今後は、電池切れによる強制的な電源オフを極力回避できるように、残りのバッテリーが減少していたら優先的に充電していくようにしたい。
また、端末への負荷を下げる目的で、電池に余裕があるタイミングで再起動を行うことも定期的な習慣にできたら好ましい。

現代人にとって、命と同じくらい大事とも言えるスマートフォンが急に故障したら、本当に大変なのだ。
その危機的状況を表面的に体験できたことは、怠けきった意識を切り替えるきっかけになったように思う。