K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

驚愕

驚いた。いや本当に、珍しく、心の底から。
睡眠習慣に紆余曲折あり、今日は午後の時間ずっと夕方まで眠っていたのだが、起きてスマホを見たら、あらゆる媒体において不穏な文字が並んでいて……目を疑わざるを得なかった。
たぶん、現実味がなかったのだと思う。これまで生きてきた経験、常識などから、容易には想像しにくい突拍子もない事態……ああ、また嫌な夏がやってきたのだと、ふと感じてしまった。

 

令和になってから……などと、今さらの感想を述べるつもりはないが、それにしても今回の出来事は日本そのものの今後に致命的な影響を及ぼすのではないかと思わないわけにはいかない。
歴史的に不幸な事件として夏に思い出されるのは、やはりあの放火事件なのだが、それとはまた異なるベクトルで世間を……というより世界を震撼させる事件なのかもしれない。

私は芸能人に疎いから、著名人の訃報に対して強く感情を刺激されることは基本的にあまりない。
メンタルに深い傷を負ったのは上に書いた放火事件くらいのもので、たとえば誰々が病死しただの自殺しただの、その手の毎年ある報道は比較的冷淡に、機械的に受け止めることがほとんどだ。
だから、今回は事件の内容そのものに対してもそうだが、私が純粋に驚愕したという事実にも驚いたのだ。
次から次へと情報が目に入ってきて、それらを即座に認識することが難しかった。こんなことが、現代日本で起こるなんて。
個人的な話をすると、今のところひどい喪失感は覚えていない。比べるようなものではないけれど、芸能人が亡くなった際などと程度の差はあれど心の動きは似ていて、だからそれほど感傷的にはなっていない。
Twitterなんかを見ていると、ショッキングな出来事に心が影響を受けやすい人も少なくないようで気の毒にも思うが、私は幸い大丈夫だ。

しかし、それにしても……事件から数時間が経過してなお、にわかには信じられない奇妙な感覚が強い。もちろん報道されている通り、事実は事実として認識しているつもりではあるが、こんなに呆気ないものであるのかと、つい嘆いてしまう。
どうするのだろう。どうなるのだろう。この国は。

選挙を控えるこの時期に、これだ。全国民が正常な判断で臨めるわけがない。
たとえば、政界内の勢力図も従来では期待されなかった形で動いていくかもしれないし、ひょっとすると今を生きる全員が歴史的な転換点に立たされることになった可能性すらある。
こんな、どうしようもない事件ひとつで。

 

知識や情報が不足している状態で、思うままにいい加減なことを書くメリットはないから、個人的な想いや出来事を記す日記とはいえ、深入りはできない。
ただ、最近はネット上の誹謗中傷など以前には顕在化することのなかった問題が大きく取り沙汰されることが増えてきたように、あまりにも精神的に荒んだ世の中になってきている実感がある。
外側だけ取り繕って、いつしか内面はドロドロの混沌の中で、互いに傷つけ合ったり傷を舐め合ったりしながら生きている。
気味が悪い。
こうなってくると、他人と関わらず社会から一定の距離を置いて気ままに生きようとしている私が、むしろ正解に近い方向性なのではないかとさえ錯覚してしまう。
本能に刻まれた野蛮な部分を潜在的に吐き出せるのがインターネットの良いところだったはずなのに、全人類が当たり前のように扱う場所になった結果、本来のメリットが翻って悪目立ちしてしまっているような感じだ。
けれど、従来の空気に生き甲斐を見出していたモンスターたちにとって、適切な逃げ場なんて存在しない。結局、環境や立場に応じて自由度は異なるにせよ、別の形に置き換えて上手く解消する方法を模索するしかないのだろう。
そして、それが実現困難だからこそ次々と怪物が生まれていくのだが……器用に生きられない者にとって究極的には、他者への攻撃を厭わず後先を顧みることなく暴走する道しか、実は用意されていないのかもしれない。
これが行き詰まった社会が到達する、ひとつの宿命なのだろうか。

これからも私は世間から少し切り離された存在として、なるべく周囲を俯瞰して生きていこうとは思う。
いつ、私が大変な出来事の当事者となるかわからないのだから、自分だけの空間以外においては、できる限り警戒感を高めておくことに決して損はないだろう。