K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

人間適性ナーフ

眠りが浅い。
深く眠れないということは、起床後に睡眠不足を感じるということだ。あるいは、覚醒状態を長く維持できなくなる状態を作り出すことになる。
体質的な問題もあって以前から稀に発生していた悩みではあるのだけれど、今週に入ってからどうしようもなく生活が壊されている。
一日に二度、眠って目覚める。非効率な休眠規則に苛立たずにはいられない。

 

起きる時間は、もっぱら早朝と夜だ。
朝方、日によって異なるけれど、日の出の直後くらいから一般的に社会が回り始めるくらいの時間までには、ほとんど必ず目を覚ます。
しばらく、自ら目覚ましのアラームに頼った記憶はない。自然と起きてしまうか、もしくは両隣の女が起きるまでに時間を要するせいで、隣から響いてくるスマホの鳴動音が私の神経を逆撫でるのだ。
iPhoneのアラームは、どうしてあんなにも頭の中を不愉快に反響するのだろう。それに比べたら、Androidのデフォルト音声はずっとマシというものだ。
この問題はもはや、私が林檎製品を嫌う理由の一つになっている。

ともあれ、もう少し眠っているはずだったのに、まだ眠いのに……不意に起きてしまうのが日常となっている。
もちろん、寝起きの機嫌は悪い。目覚めた瞬間から元気が漲るような感覚は、ここ数年の間には経験がない。いつも、重い身体を無理やり起こさなければならない。
本質的に眠るのが下手くそなので、一度でも意識が現実に引き戻されてしまうと、二度寝するのにも一苦労だ。
眠気は感じるけれど、身体は起こされてしまった。頑張って再び眠ろうとするとも面倒だ。布団から出てしまえば、活動できないことはない。
そうやって、体力の回復が十分でないまま「今日」の生活を開始するわけだが、普通に考えて夜までノンストップで起きていられるはずもない。たいてい、昼を過ぎた頃になると目蓋が異様に重くなり、全身の動きが緩慢になる。
相当に集中力が要求される作業に突入できていたら話は変わるけれど、ほとんどの場合、意識するかしないかという絶妙な微睡みに促されて、次に気づいた時には暗い部屋でベッドの上にいることを認識する羽目になる。そして二度目の起床に軽い絶望感を覚えるというのが、このところ半ばテンプレ化した午後の流れとなっている。

 

実際の睡眠時間を合計してみると、これは世の中で推奨されている健康的な値に近いものだと思う。
それは、まぁそうだろうという感じだ。二度も寝ていて足りないとなれば、ショートスリーパーにも程がある。
むしろ、私はたっぷり眠らないと身体が頑張れないタイプだから、己の欲求に身体が全面的に従えるのであれば、半日近くを睡眠に費やしていても不思議ではない。
ちょっとした外的要因によって、いとも簡単に妨げられてしまうからこそ、私は生きにくさを感じているのだから。

各睡眠が中途半端に終わってしまう結果、ほとんど常に体力は全快状態の半分未満で推移することになる。
起きてから長く経っていないにもかかわらず、限界に近い気怠さに襲われるのは、そういうことなのだ。
そしてまた、満足に眠れないまま短時間の睡眠で目を覚ます。深夜から早朝にかけてと、夕方手前から夜まで……一日を分割して二日分を過ごしているような感覚にも陥るけれど、体感時間は変わっていないから体内時計はバグりっぱなしと言う他ない。

身体は眠りを求めているはずなのに、途中で止めてしまう原因はなんなのだろう。
ぐっすりと熟睡できていた頃がいつだったか、もう思い出せない。昔はもっと普通だったはずなのに……生命体として徐々に、その適性を失いつつある今日この頃の私だった。